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ビクリと、オレンジ髪ちゃんは両肩を震わせた。
彼女は強気を装って話す。どうやら劣勢という条件を覆すのに燃えるタイプらしい。
「あんた、陸上部に入りなさい。何処の馬の骨だか分からないけど、この私に勝つその足は優秀なの。勿体ないから走りなさい!」
「陸上部に入ると、お前みたいな自惚れさんになるのか?」
陸上部。私のイメージでは、ただ走るだけのナルシスト集団だ。
努力と継続した練習好きよりも、走ることの中毒者なのではないかとも、この時は思っていた。
真っ直ぐな私の感想に、オレンジさんは当然、顔を真っ赤にした。泣き出す寸前の目で睨む。
「黙りなさい! 本当、低音ボイスの通り、男みたいで愛想のない娘ね。私、佐藤夏摘。あんたの足を陸上部に入れるまで、休み時間も放課後も付きまとうからね!」
「……勘弁してくれ」
ナツミの第一印象、天真爛漫なトンデモナイ女だ。虎の尾を踏んだと、流石に私も焦っていたと思う。
昔の野球バカな私を見ているようで恥ずかしかったんだ。
認めたくないものだ、若さゆえの過ちと。
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