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82. オリヴィエ・アボット⑦〜不思議な石
授業で習ったんだけど、平民と違い貴族は大なり小なり魔法が必ず使えるらしい。
個人個人で得意な魔法が違うんだけどそもそも魔力には属性があるらしくて、その属性の偏りで使える魔法が変わるんだそうだ。
自然界に繋がりのある4属性と無属性2種って習ったけど、1つしか属性のない人や複合して何種類も持ってる人もいて、王族クラスになると全部使えるらしいけど私は半分平民だからそう云うのは関係ないなって思ってたら授業で魔力測定の実験があって何と私にもちゃんと魔力があるのが分かってビックリした。
じゃあ私の魔力もその石に触ったら吸われるのかな? あれ、吸うんじゃなくて発揮する? ちょっとだけ興味が湧いて、鉱石を見てみたいなって思った。
その事を手紙に書いて送ったらお父様が王都に着いたら見せてくれるっていう返事が来た。
1週間後に王都で会う約束をした。
ちょっと楽しみになった――
×××
その石はキラキラ宝石みたいに輝いてた。
ガラスみたいに透き通っていて薄っすら色が付いているものもあった。
「ほら、これなんかオリヴィエの髪の毛みたいな綺麗な薔薇色だよ」
お父様がにこにこ笑いながら大人の握り拳サイズの鉱石を袋から取り出した。
「凄い! 大きい?」
「ああ。これは特別大きいね。他にも同じくらい大きいものもあるけど全部透明で水晶みたいなんだ」
「へええ」
王都に来たお父様はホテルに泊まって明日王城に登城する予定だと言って、私との約束を守ってくれた。
一緒にレストランで食事をした後で泊まっている部屋に行って、大事に革袋に収納してあった鉱石を机の上に並べて見せてくれたのだ。
学園の成績も上位をキープ出来てるし、諦めていた魔力もあったので魔法の授業も受けることが出来る事が決まってお父様は上機嫌だ。
ある意味魔力がある事で私がお父様の血を引いてる事が確実になったみたいなものだからだと思う。
私の顔はママに似てるけど、目の色だけはお父様ソックリのアボット家の特有の菫色だから親子なのは明白なんだけど、やっぱり魔法が使えるていうのは貴族にとっては格別なんだって。
「触っても大丈夫?」
「ああ」
そっと指先で鉱石に触れてみる。
「あれ?」
「どうした?」
「何だかこの石だけ暖かい気がする?」
薔薇色の石だけ指先に熱を感じて、驚いて手を引っ込めたら、お父様が慌ててそれを手に取って確かめる。
「いや、他のと同じくらい冷たいな」
「? ホントだ。気のせいかな。色がついてると特別だって思っちゃうからかも」
「そうかも知れんな。思い込みもあるだろうな」
フフフって目を合わせて2人で笑ってしまった。
その後はお父様が馬車で寮まで連れて帰ってくれて、門の前でお別れして大人しく部屋に戻って明日からの授業の準備を終わらせ入浴後就寝した。
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