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21.叩くと折れそうな御令嬢?
「陛下は薄幸系美人に弱いからねぇ」
ふと、王妃がトンデモナイ言葉を口にして思わず息子二人が菓子を喉を詰まらせる。
「いや、だってココだけの話あのオリヴィエ嬢ってめちゃくちゃ陛下の好みの容姿なのよね」
今度は令嬢二人が思わず紅茶を吹き出しそうになって慌ててハンカチで口元を押さえる。
「こう何と言うか、叩いたら折れそうな清楚系が好きなのよね。彼」
ゴホゴホとクッキーを喉につまらせたアダムの背を婚約者が慌てて擦る。
――叩いたら折れそうって・・・
因みに王妃は美人ではあるが女性武官のようにしっかりした身体つきのカッコイイ系クールビューティー。
若い頃は女性騎士になりたいという夢があったらしいが陛下との政略結婚でそれは叶わなかったらしいが、今でもこっそり体は鍛えているらしく40歳の呼び声が聞こえる今でも抜群のプロポーションを誇っている。
「ですが王妃様。この国の王族に限っては第2夫人や寵妃を持つ事を法律で禁じております。百歩譲って公妾は認められておりますが、それだって正妃様にお子ができない時と定められていますわ」
侯爵令嬢が困り顔になる。
そうなのだ。
この国は、過去のお家騒動を顧みて王族は側妃寵妃は設けられない事に法律で厳しく決められている。
王位継承権を放棄して臣下へと下った場合は法律の適応外となり、お目溢しもあるが王族に名を連ねている間は第2夫人も愛妾も認められない。
当然だが、後宮なんてモノも存在しない。
「そうなのよね~、でも男爵親子と謁見の間で会った時の陛下のやに下がった顔がねえ~・・・妙に気になるのよね。長年の勘だけど、碌でもない事しでかしそうでねぇ」
――ねぇ、って言われても・・・
困った顔になる王子達4人だったが、ソレを聞いてシルフィーヌだけが一瞬『?』という顔になったのをウィリアムは見逃さなかった。
×××
「で? フィーは何を思い出したんだ?」
「ちょっと~、ウィル。ここ何処か分かってる?」
「おう。オマエの部屋」
「・・・」
時間は真夜中過ぎである。
シルフィーヌはベッドの中で眠っていたのだが、人の気配がしたような気がして浅い眠りから急に目が覚めたのだ。
「ねえ、どうでもいいけど、なんでパジャマ姿なのよ!?」
「え、だって夜だし。お前だって寝間着じゃん」
「私は寝てるんだから当たり前でしょ!」
「俺も今から寝ようかなっていう感じだったから、パジャマ着たんだけど昼間のお前の表情が気になって跳んできた」
ムッツリとした顔でベッドの横で腕組みをするウィリアム王子。
薄いシルクのパジャマが体に纏わりつくように引っ張られて見事なシックスパックの起伏が薄っすら分かる為、若干顔が赤くなるシルフィーヌ。
「ねえ、そのパジャマ小さくない?」
「お、お前も気が付いたか? 俺もそんな気がしてた」
「・・・」
ガウンくらい羽織ってこいっ!
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