28.殿下、それは逆ハーと申します

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28.殿下、それは逆ハーと申します

 「それは逆ハーレム展開ってヤツね」  又もや真夜中の淑女の私室である。  昼間連絡を入れて公爵邸に赴いても良かったのだが、ちょっとした下心があって夜中にシルフィーヌの私室にひょいと跳んだ殿下。  実は昼間の姿と比べて彼女は夜の方がとても可愛らしいのだ。  可愛いものを見るほうが男としては嬉しい・・・ただそれだけなのだが。 「逆ハーレム・・・ハーレム!? 確かに。1人の女に寄って集って高位の男どもが夢中になって貢いでる感じだった」 「うん。まんまソレよ。あの例のノートに書き溜めたゲームのストーリーの展開には逆ハーレムエンドは無かったけど、他のゲームで18禁のヤツならあり得る展開でもあるわ」 「乙女ゲームもエゲツナイな。ヤローのプレイするヤツと変わんねえのか・・・」 「やった事があるの?」  それには答えず横を向くウィリアム。  ×××  「まあ、それはともかくその作家の書いたものと私が思い出して書き留めたノートの内容が一致してるってことで間違いないってことよね?」 「うん、まあ。報告書を読む限りでは同じ様な展開だと思った。実物を読んだわけじゃないんだが・・・イテテ」  シルフィーヌに抓られた太腿を撫でながら答えるウィリアム王子。 「それくらい似たような展開の小説を書けるってことは、もしかしたら私達二人以外に転生者がいるのかも・・・」  考え込む婚約者の顔を覗き込みながら眉を下げるウィリアム。 「やっぱりそう思うか? 俺もそんな気がする。既に俺達二人がいるんだ。3人だろうが4人だろうが居ても不思議じゃないだろ?」 「うん。ウィルの言う通りだわ」 「そいつが、何らかの思惑があってゲームを小説に仕立て直して出版社に送ったって考えるのが妥当だと思う」  ウィリアムが腕組みをしながらウ~ンと天井を見つめるのを横目で見ながら首を傾げるシルフィーヌ。 「でも私が知ってる限り逆ハーレムはあのゲームのコンセプトではありえないと思うの。その本を読んでみないとわかんないけど。大体逆ハーに出来るゲームや小説って18歳以上オッケーのエロ主体だもん。あのゲームは17歳から出来るっていうものだったから」 「エロ主体・・・」  確かに他の7冊の内容の報告書ではチョットだけ際どいシーンはあったがR18の未満年齢進入禁止というほどでは無かったが、8冊目は・・・ 「8冊目の内容が確かにエグかった気がする・・・」 「エグい?」 「うんまあ・・・こう閨での複数プレイとか・・・」 「え・・・/////」  シルフィーヌの顔が若干赤くなったのは気の所為では無いだろう・・・ 「とにかくこの件はもう少し間諜も使って探るから作者を特定してからだな」 「う、うん。そ、そうだね。まさかだけど誰かがハーレム展開を目論んでるって訳じゃなければいいんだけど」 「う、うんそうだな」  思わず目が泳ぐウィリアム王子。  ・・・色々厄介なお年頃なのである。
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