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32. ジョセフィーヌ・カートレット①
5歳だからまだお茶会にも出席できなくて、子供扱いばっかりされてつまんない。
でもねお父様は
『いつまでも可愛い子どものままでいてくれよ』
って会う度に言うのよね。
うーん、困っちゃうなぁ。お母様みたいに早く淑女って言われるような女性になって素敵なドレスを着てみたいんだけど・・・メイクだってしてみたい!
それでお兄様達にデビュタントでエスコートして貰うのが夢なの!
そうそう、その私のお兄様達2人ってばすごく素敵なのよ。
上のウィリアム兄様は大好きなお父様に顔も姿もすごく似て凛々しいし、下のアダム兄様はお母様に顔がよく似ていて溜息が出ちゃうくらい美しいの!
ウィリアム兄様は騎士団長も魔塔の魔法使いも叶わないくらい強いって聞いてるわ。
アダム兄様は剣より魔法のほうが得意で、他国では聖女しか使えないって言われてる癒やしの大魔法を使えるの。
国の英雄だって侍女達が噂するくらい2人共強くて、お兄様達が魔獣討伐の遠征から帰ってくる時は国民が街道沿いに並んで大喜びするんだって。
2人共私とは年齢が離れてるから、私が産まれた頃には本宮にはもう住んで居なくて一緒には暮らしたことはないけれど、時間があれば馬に乗せてくれたり、お忍びで城下町に連れて行ってくれたりもする。
強くて優しくてカッコイイ2人は自慢のお兄様達だから、勿論婚約者もいるのよね。
アダム兄様の婚約者の侯爵家のご令嬢は可愛らしい方で、胸が大きくってコロコロ笑う朗らかな人よ。
でもね、ウィリアム兄様の婚約者が私は気に入らないの。
だってブッサイクなの。
まるで意地悪なカヴァネスみたいな格好で、髪だっていつも引っ詰めてるし、前髪で顔を隠して眼鏡を掛けてるの・・・挨拶位はしてやってもいいけど、馴れ合いなんかしてやらないの。
可愛くないんだもん。
だからあのひとじゃウィリアムお兄様に相応しくないと思うの。
だってお兄様と夫婦になればあの地味な人が将来は王妃になるのよ!?
王妃はお母様みたいに麗しくなくちゃ駄目よね?
教師が言ってたけど他国との外交の時に不細工な王族なんて舐められちゃうって・・・じゃあさ、あの人なんか絶対無理じゃん。
あんなんじゃ外国の王族とか外交官に絶対に下に思われちゃう。
そんなことになったらウィリアム兄様が可愛そうじゃない! 王子妃が不細工なせいで私のお兄様が舐められるなんて絶対に駄目! 許せないわ!
中庭のお茶会の時に座ってるのを何度か見たけどあれは仮の姿なの! きっとあの地味な顔が隠れるくらい侍女達に厚化粧させて化けてるのよッ!
お兄様はあの仮の姿に騙されてるのよ。何とかあの女のホントの姿を知ってもらわないと!
だって侍女達が、女性はドレスを着て着飾る時は、メイクをして綺麗に見せるんだって言ってたんだもの!
だからお父様と一緒におやつを食べた時に、
『あんな人はお兄様に相応しくない』
って私が言っといたから、きっと婚約者じゃなくなるわ!
あ~よかった。
きっと本当のこと知ったらお兄様にも褒めて貰えるわよねッ!
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