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47. ウィリアム・カートレット②
コリンズ領で読んだ薄い本の中で、シルフィーヌと俺がヒロインと関わり合いのあるのは1巻だったので、俺達の作った秘密のメモとすり合わせをしてみた。
何故か俺が18歳で王太子になってて、学園の卒業記念パーティーが行われてる真っ最中でシルフィーヌがヒロインのオリヴィエを虐めたという理由で断罪して、彼女に向かい『修道院へ行け』って命じるのは同じだったけど、そこに至る経緯が無茶苦茶だった。
しかも俺、魔獣にやられて大怪我ってナニ? フィーの言ってた怪我ってソレ?
やられるわけ無いじゃん。
俺は15歳で冒険者ギルドに登録しててもう既にSSクラスに昇格しちゃって、もうすぐSSSって言われてる男よ?! ドラゴンを1人で屠れないとSS級なんか貰えないんだよ?!
その阿呆みたいに強い男が大怪我って、どんな魔獣と戦ったわけ!? ひょっとして相手は魔王か?! それならわかるけど、この世界には魔王はいない。
それから貴族の御令嬢がいくら怪我した俺が寝かされていたとしても森の中のあばら家に現れるのもおかしい・・・いや、怪我してんならさっさと城に連れて行ってくれ。頼む。
転移魔法くらい出来る魔法使いを遠征なら連れてるし、そもそも俺が転移魔法が得意なんだしよー。自分で医務室に跳ぶわ。
それかアダ厶のいるトコに直行する・・・アイツなら怪我なんぞチョイチョイでないことにできるから。
あと、公爵邸にはヒロインを閉じ込めとく地下牢も存在してない。
どの貴族の屋敷も地下は大切な物を置いとく場所になってて、大抵は巨大なワインセラーがまずある。あと食料庫、歴史のある書籍なんかを置く図書館や、家系図や宝飾品の保管庫なんかも地下が一般的だ。
牢屋作るような余裕はないぞ、砦じゃねーんだから・・・
もう設定からして現実的じゃなさ過ぎるとは思ってたけどさー。
しかもあの本に出てくる俺、最低だ。フィーのメモ以上にひでえのよ、ぶっちゃけ俺が浮気してるだけ。
人目のある学園の中庭で婚約者のフィー以外とキスするって、ナニソレ? 意味分からん。
それをフィーに見せつけて
『お前に魅力がないから仕方がない』
って、なにそれえぇ!? 馬鹿じゃん!
オマエのシモが緩いんだよッ! キサマそれでも日本男児かッ! て叫びそうになった。
もう今の俺は日本男児じゃないけど。
やっぱりゲームはゲームで架空の物語だと思ったけど、アボット家の令嬢はあの本の通りに動いてるのが凄くよく分かった。
あ、これヤラレタ、あ、コレも覚えがある、うお、コレもだ・・・の連続。
本が教科書や指導書の認識なのかもな・・・それか俺達と同じ転生者。
こうなったら意地でも最強になって怪我なんか絶対にしてやらん。見てろよ。
誰に言ってんだ俺? まあいっか。
あ。それと、今回の視察旅行でフィーとの距離がひっじょうに非常に縮まったのが俺としてはとても満足だ。嬉しすぎて気持ちだけが舞い上がってた。
『その距離が乙女ゲームに漬け込まれる隙なのですッ!』
ってエリーゼ嬢に言われたけど、成る程確かに他人行儀に周りから見えたら漬け込まれ易いかもな、と納得してしまった。
明るい日差しの下で可愛いフィーを見るのも久しぶりで嬉しかった。
あ~何回見ても美少女。
だが、可愛いフィーを何故スマホに収められないのかが非常に不満だったが。
くっついても膝に乗せても、あ~んさせて貰っても駄目出しされなかったもんね。
俺があ~んしたら、照れて涙目になって真っ赤になりながらピンク色の小さい口を一生懸命開けておねだりする仕草がもうね。たまらん。
なんて可愛い生き物だろうって何回もウッと息が詰まって、手が勝手にワキワキしそうになって焦ったわ。
もー好きすぎてツライッ!
でも俺中身がオッサンなんだよな~彼女と違ってさ・・・
引かれてないかな~
其れだけが心配・・・
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