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伝える言葉と思い込み
「──美香さん。もう上がって大丈夫ですよ」
一日の仕事が終わり店長が帰宅を促す。
私は返事をしてエプロンを外し、ロッカーを開け自分の荷物を持って帰り支度する。
女性は用事があるらしく先に帰ったようでお店に私と店長の2人だけだった。
私は店長に挨拶をして勝手口のドアから帰宅する。
バス停で待っている間店長の言葉が蘇る。『気持ちを込めて作ってるだけです』とてもいい言葉だと改めて思う。
時刻通りきたバスに乗り込み揺られながらに専門学校の講師からの『学ぶ姿勢を忘れるな』という言葉を思い出す。
座席に座り、外の風景に視線を移しながら考える。
──今に満足してしまったら現状維持ですら難しい。向上心をもった学ぶ姿勢がなければ成長はありえないのだ。
それは何事においても変わらない。成長の必要がない分野などこの世には存在しない。
目的のバス停で降り、自宅に向かう。目をつむっても帰れるほど歩いてきた道のりを歩き自宅のアパートについた。
鍵を開けようと鍵を差し込むと違和感を感じた。
ドアの鍵が開いている......。
ドアを開けて注意深く部屋に入るが特に違和感はなかった。荒らされてもいないし何も変わっていない。
思い出してみると朝は玄関ドアに鍵をかけた記憶がない。
単純に私は鍵をかけ忘れてたようだ。
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