君の為に

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私も知ってはいたが食べたことはなかった。 見慣れないパスタに私達は予想のことを忘れてしまう。 フォークを手に取りゆっくりと持ち上げ慎重にパスタを巻いて口に入れて、初めて食べるパスタに若干の怖さと緊張を感じながら味わう。 「あっ意外と美味しい! というか結構美味しい!」 女性が明るい声で絶賛する。 私も味わいながら賛同するように何度も頷く。 アーモンドを炒った香りとバジルのフレッシュな香りをトマトの酸味とニンニクで絶妙にまとめている。 味を例えるとしたら駄菓子のベビースターの味にトマトの酸味を加えたような味で、食べ慣れない味だがとても美味しく感じた。 「新作でメニューに追加しようか悩んでるんだけど......どう?」 店長のその言葉を聞いた瞬間に私達の手が止まる。以心伝心というのか、二人同じことを考えているのが分かる。 女性が言いにくそうにしながら店長に伝えようとする。 「......なんというか美味しいんですけど見た目が、その......」 最後まで言い切れない女性に店長が察する。
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