気持ちいい夢

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スマホを置いて、残っている最後のテストをするため椅子に座りなおす。 首を回したり左右に頭を倒して首周りをほぐしていき、口を少し大きく開けて発声練習をする。 「......あ、ぁあー」 声が震えていつもの声が出ない。 だがこれは喉の不調ではなく私の弱い心のせいだ。少し息を整えて発声練習を続けていき、喉だけじゃなく頭と心の準備もしていく。 ストレッチをして首と喉を温めると頭の中の竜巻がいつしか収まり、もう1人の私からの訴えも聞こえなくなりようやく落ち着いてきたようだった。 ストレッチを終えて時刻を確認すると配信開始まで10分だった。もうすぐかと思っていたが、机の上が寂しいことに違和感を感じた。 配信に必要なものはすべて揃っているが、その違和感の正体はすぐに判明した。飲み物やお菓子がないのだ。 何時間配信するかもわからないのに飲まず食わずでは冗談でもなく死んでしまう。さすがの私も配信中に死ぬのは本望とは言えず、急いで冷蔵庫に向かった。
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