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思い立ったが吉日だ。
あぐらをかいた足を解いて背筋を伸ばして残りを全部歌い切ろうと少し前屈みになりながら曲を再生しようとした。その時だった。
大きい異音がした──。
何かが悲鳴を上げている。地響きのように重く、家具を動かした時の床を傷つけるような嫌な音、それでいて機械が壊れるように甲高い音だった。
私は一瞬パソコンが壊れる音かと思った。長時間の配信でついに限界が来たのか、配信の容量でパンクしたとか思い当たることが多すぎた。
頭が真っ白になったが、私はすぐに異音はパソコンからではないことに気付く。
みんなには気付かれていないことを願ってコメント欄を恐る恐る覗いてみた。
『お腹の音すごっ』
「──ッッ!!!」
恥ずかしさのあまり思わず背筋が電柱のように一直線に伸びて硬直してしまう。
体の中心から熱が広がっていき、一瞬で体の体温が上がるのがわかる。
上がりきった口角は一気に強張る。あんな爆音が私のお腹の音だなんて未だに信じられない。
私は藁にもすがる思いで引きつった笑みをしながら弁解する。
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