幸せな余韻の心地よさ

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一瞬、机で食べようか迷ったが考えを改め直す。 深夜のしかも4時すぎに食べるプッチンプリンに相応しい場所は机などという行儀いい場所じゃ駄目だ。 暗いキッチンで行儀悪く立ちながら背徳感に耐えて静かに食べることこそ相応しい。 私はキッチンに少し寄りかかりながら、プリンの蓋を最後まで剥がし切らずに開けて一口食べる。 ──身体が悦んでいるのがわかる。 甘みというアッパー攻撃で頭が揺れ、指の先まで衝撃が伝わっていく。脳が一気に覚醒して目が無意識に開き視界が明るくなり五感が研ぎすまれていくのを感じる。 夢中になりながらもプリンを食べ終えた私はベッドに入る。眠気はないが椅子には5時間も座り続けて腰を労りたかった。 仰向けになって暗い天井を見つめる。手に持っているスマホからXを開いてファンみんなからの配信の感想を読もうと思ったが、身体がスライムのようにベッドに溶け込み、沈んでいき手が思うように動かない。 ようやく私は疲れを実感する。眠気が身体の奥底から襲いかかってきた。 瞼が重く少しだけのつもりで目を閉じる──。 波に揺られるボートで寝ているような、あやふやな感覚の世界。 スマホを持つ私の手はついに力尽き脱力してスマホを離してしまった。
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