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「......頂きます。」
私は口に入れ味わう。
──美味しい。
感動を通り越して呆気にとられる。それどころか間違いなく最初の頃より美味しくなっている。
「──どうしましたか? もしかして美味しくなかったですかね......?」
店長が心配そうに見つめてくる。
私は急いで店長の安心させようとした。
「そ、そんなことないです。本当に美味しいです」
店長は安心して微笑んだ。
その微笑みを見て私も安心したが、この疑問を思い切って聞いてみた。
「店長──。なんでこんなに美味しく作れるんですか?」
その言葉を聞いた店長は少し戸惑ったような表情をして腕を組み、まるで職人のような貫禄を出して悩みこんでしまった。
もしかしたら企業秘密だったのかもしれない。私は少し悪く思い訂正した。
「すみません......やっぱり企業秘密ですよね......」
まるで教科書に載る偉人のように貫禄のあった店長は組んだ腕を下ろし、いつもの穏やかな声で喋り始めた。
「......企業秘密はないんです。ただ美味しいと思ってくれるように気持ちを込めて作ってるだけなんですよ」
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