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遠くになった初めの一歩
モニターに表示される下から上に流れていく文章の数々。
私は逃げる魚を掴む思いで興味のある文章を見つけ出し選んでいく。
口のすぐ前にあるマイクに向かって私は好き勝手に言葉を抑揚をつけてぶつけ、そしてまた文章を見つけようとしていく。
──1年と半年前、仕事をする毎日に嫌気が差してYouTubeで配信を始めた。
学生の頃ゲームが大好きだった私だが、仕事を始めるとゲームをする事がなくなり積まれて放置され、時々来てくれる友達には『散らかっている』『邪魔で座る場所ない』とゲーム達を悲しませる日々だった。
それならと持ってるパソコンを使ってYouTubeの配信をして、好き勝手にゲーム実況をすれば積みゲーはなくなって楽しくての一石二鳥だと妄想していた。
しかも配信者は視聴者のコメント読んで楽しそうだった。
仕事ばかりで笑顔がない最近の私からすれば配信者というのは羨ましくて仕方がなかったのだ。
マイクやカメラ、オーディオインターフェースなどの周辺機器を買うと意外と簡単に配信活動は始められた。だが問題はそこからだ。
──誰も人が来ないのだ。
配信をスタートして30分は孤独の時間。人が来ても10人来てくれれば大人数だと大騒ぎするレベルで、『このままでいいのか』と考えてはため息の毎日。
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