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第3話 NSR250Rとバトル
パワーアップパーツ取り付け後、初めての峠に心を躍らせ愛車のエンジンを掛けて城藤峠へ向け走り出す。
エンジンの熱気が伝わり抱えているガソリンタンクが熱い。
甲州街道を左に曲がり高尾街道から町田街道へ。
ブゥーン、ブゥーン、ブゥ、ブゥ、ブゥ
交差点で停まり横に並ぶNSR250R、赤白のツートンがカッコいい。
そいつは俺に顔を向け微笑むと、一速にシフトチェンジし、スロットルを回し走り出した。
ブゥン、ブゥーン
俺は慌てて走り出さしたが、そいつは既に次の信号間近だ。
出遅れたばかりでは無く2気筒のNSRは、愛車の単気筒に比べ馬力が2倍近い。直線でのバトルは話にならない。
そいつも城藤峠に向かう様だ。町田街道を右に曲がった。
『こうなったら峠で勝負だ』
俺も右折し城藤峠に向かう。
初めのS字を抜けるとそいつはゆっくり右カーブを曲がっていた。俺はライトを2回付け、二速のまま加速し右カーブを大きく回り、次に左カーブを曲がる。
ヒュー、ブォーンー
エンブレがうるさいが仕方ない。直線で三速にシフトアップし、二速へシフトダウンし右カーブへ突っ込む。
あいつは着いてきていない様だ。
S字へ突っ込むところで、あいつが愛車にピッタリ着いてきた。
短い直線でシフトチェンジせず引っ張ったが、あっさり抜けられ、左カーブを減速せず曲がり、更に加速して右カーブを抜けていった。
差が開くばかりだ。
S字を抜け左カーブを曲がるとヘアピンだ。
俺は左カーブの立ち上がりで加速し三速へシフトアップ。
更に加速してヘアピンに突っ込みカーブ側面ギリギリでシフトダウンとフロントブレーキを名一杯かけ、体を捻りドリフトの要領で直角に曲がり、加速とシフトアップ。
更に加速してフロントフォーク差でコールインした。
俺は頂上の真ん中でバイクを停めアスファルトに降り立つとメットを脱いだ。
「おはようございます。結城達也と言います」
「俺は椎名真一。よろしく」
「それにしてもヘアピンであんなコーナーリングをするとはすごいですね」
「CBRとNSRのスペックの差を考えれば当然だ」
結城達也は大袈裟に笑い握手を求めてきた。俺は握手で返した。
「さすがです。椎名さん。またお会いしましょう」
結城達也はNSRに跨り去っていった。
俺はアスファルトに座り込みタバコに火をつけはいいっぱいに吸い込んだ。
「きついバトルだった」
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