第5話 走れGSX250R

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第5話 走れGSX250R

 格納庫にサイドスタンドで立て掛けている GSX250Rを引き出し、イグニッションキーにキーを挿しキーを回してスターターボタンを押す。  キュキュキュル、ブォン、ブォーン   「おい、みゆき」 「何?」 「こいついじってんの?」 「うん。毎日いじっているよ」    ブォン、ブォン、ブォーン 『こいつ軽く4,000回転出てるぞ。おやっさん何をしているんだ』    ブゥ、ブゥ、ブュン、ブューン  みゆきのGSX250SKATANAの後に続くが引き離される。 『当たり前か』  みゆきはコンビニに停車していた。 「遅いよ」 「当たり前だろ。KATANAとスペックが違んだから」  みゆきは呆れたように言う。 「スロットルを全開にしてる?」 「いや」 「今度は全開にしてみて。水分補給。飲みたいものは?」 「俺はいらない」  みゆきはコンビニに入って行った。 「おかしい。ふかした時は一気に4,000回転まで上がったと言うのに。なぜだ。オンロードで加速しない」 「よし行こう」  引き続きみゆきの後について行った。信号の無い道が続き、試しにフルスロットルにしてみた。 「おい、おい。ウィリーするところだった」  その後はフルスロットルでなくてもグングン加速して行き、KATANAに追いついた。その途端KATANAに見る見るうちに引き離され、ハウス展示場まで引き離されっぱなしだった。 「お疲れ様」 「お前もいじっているのか」 「親父は親父だよ。あたしはあたしでチューンしてるんだから。一生追いつけないわ」 「なるほど」  俺は頷きみゆきの後を追い次々と内覧して行った。 「でもチュンしてNSRと同等の走りができれば結城達也をぶっちぎれるかもしれない」 「どう真一、いい装備でしょ」 「ああ」 「ここはこうしてああして下さい」 「はい。承知しました」 「真一、ここにサインして」 「わかった。ここか」 「うん」 「ありがとうございました」  俺達は駐車場に行きバイクに跨ると 「なあ」 「何?」 「こいつちょっと借りていいか」 「うんいいよぉ。後で家に帰ってきて」 「わかった」  俺は城藤峠に向かった。
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