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第9話 ツーリングサークル
GSX250SKATANA、KATANAのエンジン音だ。
「真一、真一ー」
「ああ」
ぐぅー
「えっ」
「腹減ったぁ」
「バカっ!心配したんだからぁ。うぇ〜ん」
「みゆき、俺大丈夫だからー」
そして、今。
「リアタイヤはパンクしているわ。ホイールもダメね。フロントサスペンションは調整しないと、後はフレームね」
「そんなにひどいか」
「ひどいわよ!」
みゆきかま怒るのも無理は無い。衝突寸前で車体を捻じ曲げ進行方向を変えたんだ。
「ごめん。もうしないから」
「本当ぉ、本当ね」
「ああ」
「じゃあ、応急処置をして帰りましょう」
新藤モータースに着くとおやっさんが店の前で腕を組み立っていた。
「派手にやったな。修理代は給料から引くからな」
「おやっさん、勘弁してくれー」
昼はみゆきの手料理だった。
「はあ、食った食った」
「美味しかった?」
「もちろんだよ」
「うふっ」
ピンポン
「誰か来たわ。誰かしら」
俺はみゆきの後を目で追うと見知った顔が現れた。
結城達也、久月泉、見知らぬ人だ。
「結城、久月さん」
「こんにちは」
「お前、TZRの!」
TZRのライダーは一歩前にでて手を出して来た。
「久月悠馬です」
久月悠馬は手を引く気は無いらしい。
「椎名真一だ。久月?」
「泉の兄だ」
「泉さんのお兄さん?」
「椎名、泉さんは俺の彼女だ」
結城達也は久月さんの前に立ち俺に顔をつけている。
「バカか。俺にはハニーがいる」
みゆきは俺の腕を抱きニッとした。
「まあまあ、話をしましょう」
久月悠馬がこの場の空気を変える。
「そうね。座りましょう」
久月悠馬は大学のサークルの話し始めた。
「僕達はつくば大学のツーリング同好会を運営しています。中型、大型にグループが分かれていて、僕達は中型のグループです。椎名さんにとって突きやすいでしょ」
「ああ、それで」
久月悠馬は肩から掛けているバックから一枚の紙を取り出し俺の前に置いた。
「うん?入会届?」
「はい。ツーリングサークルに入会して下さい」
久月悠馬は頭を下げた。
「真一入りなよ。あたしのサークルなのよ。悠馬君は現部長よ」
「色々なライダーがいます。椎名さんより早いライダーも。僕達と精査琢磨しましょう。よろしくお願いします」
「ね。しっかり愛車のチューンしてあげるから」
俺は仕方なく頷いた。
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