つぼみはひらく*

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つぼみはひらく*

******************************************************** 夏希に用意された自室は部屋というより家に近かった。食事も風呂も洗濯もここで全て一人で済ませられるようにと、生まれてから少数の人としか関わりをもってこなかった夏希のために用意をしてくれたらしい。他の使用人に混じり日中は働くよう命じられたのでこの部屋にいる時間はあまり長くはなさそうだが…美しい家具たちに若干の申し訳なさを感じた。 「夏希様早速で申し訳ございませんが…」 初老の男性が僕を風呂へ誘導する。 「はい。」 アルファの家を絶やさないためには絶対にオメガが必要だ。それに聞いた話で実際は分からないが、アルファの人々は自分を慰めることが容易ではないらしい。そういう時に僕らが使われる事も多いとサナトリウムで学んだ。ちゃんとお相手ができますように… 備え付けられた自室の風呂は木の装飾が施され壁には美術品が飾られ、豪華な鏡が設置されている。大きなバスタブが中心にあり、一角にはバスアメニティやふんわりとしたバスローブも揃えられている。見たことのない風呂場の豪華さに圧倒されながらも全身をくまなく洗い、入念に準備を整えて風呂を出た。渡会さんに誘導されるまま、主のもとへ向かう。天窓からは暖かな光が差し、清潔な畳の香りとみずみずしい花の香りがただよっている。 「夏希君だね……?」 先ほどの黒髪の男が僕を呼ぶ。僕が返事をしようと口を開くと、ふさがれてしまった。ぎゅっと僕を抱きしめると、滑らかな指は胸の膨らみをなぞるように滑り、腹のあたりまで下がってゆく。相手の息遣いが荒くなるのを感じる。 「ここ……触っていい?」 遠慮がちに茎を触られる。くすぐったいような、少しじんとした熱を感じた。少し視線を下げると張りのあるそれが目に入る。 「もう、あなた自身がお辛いでしょう。僕の事はいいので……」 そう言い己の後孔を手で開いた。そうはいってみたもののやはり恐怖はあるようで、そこはきつく閉じようとしている。何とか指でこじ開けて、ぎゅっと目を閉じた。 「あ……ぁっ……」 僕の思っていたものより随分と細いものがあてがわれた。それでも慎重に、遠慮がちに中をかき回している。 「あの……僕の事はいいので……早く……あっ……。」 一瞬今まで感じたことのない刺激が走った。僕の息が上がるのを見て先ほどの場所を執拗に探している。何度も指がそこをかすめる。茎がそりあがった。意識が飛んでしまうのでは無いかと恐怖を覚えた。夏希は何とか自分が果ててしまう前に相手を慰めたいとぐるりと体制を整え主の前に立ち茎を舌で包み込む。先端の鈴口をチロリとなめると相手の息遣いが荒くなる。 「っはぁ……はぁ……っっっ。やめて……君を汚してしまう……っはぁ……」 「僕は貴方に汚される為にここにきました。」 夏希の視界は白く濁った。先ほどよりかはいくらか張りを失ったそれを優しく手で握り自分に押し込む。若干の痛みとそれだけではない感情に、チラチラと星が光った。ゆっくりと上下させ相手の様子を見る。苦しそうに目を閉じていた。張りを失ったはずのそれはすっかりもとをこしてよりいっそう張りを増している。
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