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「っはぁ……はぁ……っっっ。っはぁ……はぁ……っっっ。」
相手の声に煽られてしまう。声を出さないように。僕は貴方が満足出来れば…。
「君のここもこんなになって。辛かっただろう。」
そう言ってまた滑らかな手が僕のそこに触れた。先ほど感じた恐怖が薄れてしまい、はしたない声を出してしまう。
「っっ……はぁっ……大……丈夫です……」
くちゅくちゅといやらしく水音が響く。恥ずかしい。恥ずかしくてたまらないはずなのに、主の視線によりいっそう煽られてしまう。
ふと昔の事を思い出した。尿意を感じて目覚めるも、一人でトイレに行くことが出来ず、布団を濡らしてしまったあの日。施設長にこっぴどく叱られ、もう二度としないと心に誓ったはずなのに……
「っっ……本当に……やめてっ……」
半分泣きそうになりながら懇願するも、相手の手はよりいっそう早まる。溢れた蜜が密着度をあげ切なさを増す。限界が近くなり、今にも爆ぜそうなそれは蜜でいやらしく光っている。前からも後ろからも愛でられ夏希は小さく震えている。快感に震えている様子をただじっと見られながら深みを探られている。抗うことなど到底できず、ただじっと耐える。雷に打たれたように背中がしなった。次の瞬間腹に渦巻いていたものが消えたのを感じた。やってしまったのだ。
「……申し訳ございません……何でも致しますので……外に出すのだけは……どうか、どうか。」
恐怖のあまりみっともなく縋りついてしまった。すると主は僕を抱きしめた。
「君は何を気にしているの?」
「貴方の布団を汚してしまいました……」
「君のせいじゃないよ。だって僕が君の果てる姿を見たかったのだから。」
「……?」
「今度は自分でやってご覧?」
主は暖かみのある、でも少し意地悪な声で言った。僕は言われるがまま主の前に立った。羞恥の余り顔が火照る。自分の手をそれに添えてゆっくりと上下させる。また腹に何かが渦巻く。主を覗くと焼けるような瞳で僕を見つめている。張りつめた苦しさは増す一方だ。それでも羞恥が勝つのかなかなか慰めることが出来ない。
「そうか……」
主は納得したように一人で呟き、僕の後ろに触れた。また弱いところをかすめる。何度も、何度も……茎からは蜜が溢れだす。腹に反り返り、今か今かとその時を待っている。
「夏希はココが弱いんだね……」
入り口の浅い所をくいっと押されてしまい、瞬間刺激に包まれた。何度も何度もくいっと押されて、僕はそのたびに刺激に包まれた。
最後の精を出し切った時、主の茎が後孔を広げた。何度も何度も奥に当たる。出し切ったばかりのはずなのにまだ、何かをだしたがり僕の茎は小刻みに震えている。
腹に暖かさが広がった。僕は幸せだと思う。暫く経って、障子から差し込む朝日が明るさをもたらした。壁には美しい掛け軸が掛かり部屋を彩っている。ふと主を探すと身支度をしていた。
「すみません。今すぐどきますので……」
主がこちらをちらりと見た。
「おはよう。具合はどうか?」
「えっと……」
後ろがずきずきと痛む。ただ、この場合正直なことを言うべきではないのだろう。
「大丈夫です。」
「朝食を一緒にとるか?」
「お気遣いいただきありがとうございます。ただ僕は仕事がありますのでこれで……」
少し残念そうな顔をしたように見えたのはきっと思い上がりなのだろう。夏希はサナトリウムで貰った資料をあまりよく読んでいなかったので、主の名前が思い出せない。早く自室に戻って読み込まなくては。いそいそと主の部屋を出る夏希の髪に風が舞い、春の陽光が廊下を照らした。自室に戻り身を清める。昨夜のことを思い出し後ろをひらく。中からとろっとしたものが出てくる。切なさと苦しさに心を痛めた。今日もと頼まれれば、断れる立場では無いが覚悟が必要であろう。外に出るというのはこういうことなのだ。
仕事に向かう前にざっと資料を読み返す。そうだ。思い出した。彼の名は“藤岡侑李”ゆうりさん。ゆうりさん……。
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