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「夏希君おいで。」
夏希が近づくと侑李は上着を夏希にかぶせた。
「夕食はとった?」
「いえ。仕事が終わってすぐに呼ばれたので……。」
「君は外に出たことがあまり無いんだよね?」
「そうですね。外に出たのはサナトリウムへ連れられた時と、サナトリウムから出た時の二回だと記憶しています。」
「ついて来て。」
外……。何故そんな危険な場所へ行くんだ。恐怖のあまり目が潤んだ。いつもは美しくも見える夜空が全てを吸い込む魔物に見えた。肩を震わせている夏希を侑李がなでる。
「大丈夫。僕がそばにいるから。」
屋敷の前にそびえたっている高層ビルを抜け東京の街へ出る。レンガ造りの荘厳な建物の前には、緋毛繊でできた絨毯が敷いてあり、その上には色とりどりのテーブルと椅子が並んでいる。テーブルの上には所狭しと銀の食器が並べられていて奥にはステンドグラスがある。そもそもベータの生活している日本という所がよく分かっていないが、異世界感のある店のようだ。もちろん仕事を終えたサラリーマンやOLも食事を楽しんではいるが、オメガ、アルファも関係なくここに来ることもあるらしい。
……オメガが外にいる??
「君はほとんど外に出たことが無いと聞いた。外のことも学んでおいて欲しいと思って……。サナトリウム以外で自立して働いている……その……」
「どうかしましたか?」
侑李が少し怪訝な表情をしている。
「こういう言い方は得意では無いんだ。なんか人をこう……判断しているようで……つまり、自立して働くオメガ性の人と話が出来れば参考になると思ったんだ。」
「お気遣いありがとうございます。ただ……」
「何も今日と言うことでは無いんだ。少しづつ、でいいから。今日は少し体調が悪そうだね。帰ろう。」
「せっかく連れてきて下さったのに……すみません。少し夜風にあたってきます。失礼します。」
夏希がビルの隙間で風に当たっているとスーツを着た男性二人組がやってきた。首を乱暴に捕まれ、服を剥がれる。男たちは夏希の体を味わうようになめまわす。後孔が疼く。怖い……
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