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#1 苛立ちのキス
「…ん……ちょ、まっ…て、や……っん…」
「せんせ、もっと口開けて」
「ん、んっ……むら、せ……やめ、っんん…」
意識がだんだんはっきりしてきた時には、俺は両手首を掴まれ、まさにもうお手上げ状態のポーズで壁に押し付けられている最中だった。
目の前では村瀬が俺をがっちりと拘束したまま、少し怒ったように何度も唇を重ねてくる。
貪るようなキス。
歯をこじ開けてぬるぬるとした舌が侵入し、俺の抵抗も虚しく口腔内で逃げる俺を絡めとった。
一体どうしてこんなことになっているのか。
村瀬はなんか怒っている?
てかなんで俺にキスをしている…!?
何ひとつ思考はまとまらず、酒のせいで力が入らないとは言え、教え子になす術なくいいようにされているのがこれまた情けなかった。
「………っあ………ちょ、ほん、とに……んぁ…」
「…これで分かっただろ、男子高校生でも連れ込んだらまずいって」
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午前10時40分。
どこかで鳴り響いているスマホを手探りで探し当て、ようやく目覚ましアラームを止めた。
だがすぐに起き上がる様子もなく、スイッ、スイッと慣れた手つきでスマホの画面を切り替えていく。
へー、こないだ揉めてた法案可決されそうだな。
うわ、△△線が事故で電車かなり遅れてんのか。
まじか!瀬良杏樹が電撃結婚て…アイドル時代から結構好きだったのになー。
政治のことから芸能ゴシップ。
こうしてベッドの上で朝のニューストピックをスマホでチェックするのが毎朝のルーティンだ。
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