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「見ない顔だよね?最近田舎に越してきたとか?」
「何でそんな事貴方に……」
会話を終わらせる気のない男に少しの抵抗を見せる少女。
突き放されようが慣れているのか男は狼狽える様子もなく気味の悪い笑みを浮かべる。
「別に良いじゃないか。田舎ってのは都会と違って共同体が強いんだよ。
分かりやすく言えば、血が繋がっていなくとも皆が“家族”なのさ。
上手く生活いきたきゃ、覚えておいて損はないよ」
それを聞いた少女は少し考えた後、逆に男に対して質問を投げた。
「……では、貴方は会ったばかりの人間を“家族”と思えるのですか?」
口角に唾液が溜まっているせいか男はニチャ!と音を立てて話す。
「勿論だとも。君のような可愛い子だと尚更、家族になるのが喜ばしいねぇ~」
「・・・・・」
「・・・・・」
それを最後に会話は終わった。
沈黙が二人の間に流れて、降り注ぐ雨は迫り来る危険を報せるように頭上の屋根を叩く。
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