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エピローグ.次の満月の夜
カスケは次の満月の夜も、巣穴を飛び出して散歩に繰り出していた。
あの日から時折、三世のことを思い出したりもした。ムカつく奴だったが、今頃は元気にしているだろうか。
懐かしくなったカスケは、あの日、三世と出会ったあの民家へと、気付けば足を向けていた。そして思い出をたどるように、あの縁側へと向かったのだ。
すると――そこには、ケージに入ったハムステッド三世の姿があった。
カスケは目を疑って、二度見三度見したが、やはり三世である。
「え!? お前なんでそこにいるんだよ!?」
「エヘ。食べ物が合わなくて、帰ってきちゃった」
カスケは顔を引き攣らせながら、ため息混じりに呟いた。
「……新天の地に胸躍れども、安住の地に永らへる、か」
カスケはこの時、心から、この言い伝えを信じたのであった。
■おわり■
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