Ⅴ.高慢で饒舌なハムスター

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Ⅴ.高慢で饒舌なハムスター

 ……なんなんだ、このネズミは。  確かに山で目にするネズミとは異なり、白を基調とした美しい体毛で覆われてはいるが、忌々しくも滑らかに動く口には発達した二本の前歯。身体の総合的な造形で見れば、やはりネズミの類だ。カスケはそう思った。 「もしかして、異国から来たネズミか?」 「異国て! 鹿界ってセルフ鎖国でも展開してんの? もう一回ペリーさん呼ぶ所から始めないと会話自体無理そ?」 「な……!? お前は早口で、何を言っているのか分からん!」 「アンタこそ浦島太郎ばりのジェネレーションギャップ抱えちゃって、話通じないの不自由なんですけど! あ、この言葉は分かります? ていうか分からなくてもいいから、私に協力してくれない!?」  小生意気な口調とは裏腹に、ハムスターは協力を要請してきた。カスケはハムスターから放たれる言葉の意味を半分程度しか理解できていなかったが、助けを乞うていることは察することが出来た。 「……それが助けてもらいたい奴の態度なのか?」 「え?」 「だから、散々悪態ついておいて、助けてもらえると思っているのか?」 「あ、そう。脅迫ね? 脅迫なのね」 「脅迫って、お前、そんなんじゃ……」 「頭脳だけじゃなく、性格や男気まで寂しい男ね」  この期に及んでも、まだまだ言い返しの憎たらしいハムスター。  カスケはハァと、大きく溜め息を吐いた。
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