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Ⅷ.見えた希望
「……だってお前、今97だぞ? 今ちょっとやっただけで97だぞ?」
「だから何よ、3000とは大違いでしょ。気が遠くなるわ」
「いや! だから、結構気合い入れて頑張れば、割と余裕で達成できる数値だと思うぞ!?」
「いや無理よ!」
「いやいやいや! だって今のちょっとしたやつを大体30回繰り返せばいけるんだぞ? 1週間くらいあれば……いや本気出せば今晩中にでも出来そうだって!」
ハムスターは腕組みしながら考えた。そしてギロリとカスケの方を睨みつける。
「……本当でしょうね?」
「ああ、いけると思うぞ、本当に」
カスケも大きく頷いた。するとハムスターも意を決したように、力強く目を見開いた。
「……分かった。やってみる」
「おう、頑張れよ。俺はそろそろ帰るが、さっきの感じなら本当に今晩中に、この月が出ている間にでも、達成出来ると思うぞ」
「……え? 帰る?」
「ああ、そろそろな」
「嘘でしょ? このタイミングで?」
「まあな、明日もあるし、帰って寝ないと」
「……よく眠れる?」
「は?」
「こんな状態のハムスター一匹放置して帰って、それで布団に入って眠れる? チラつかない? 泣いている私の姿が。痛まない? 胸が」
「いや、別に」
「いや、あなたはきっと悔やむわ。そして後日、ここに私を確認しにくるの。そこで見つけるのよ、アイスの棒で作られた私の墓をね。そこで悔やむの、泣くのよ。そしてこの家の主に見つかるの。それで撃たれる。銃でね。晴れてこの家の夕食が鹿鍋になり、私の横にもう一つ墓が増えるわ。割り箸製のね!」
カスケはあまりの剣幕で叱責されて、思わず泣いてしまった。
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