真珠に

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真珠に

 美麗と美姫は、幼いころから色々な試験を受けた。その結果、美麗が巫女としての力がとても強いことが判明した。    困ったことに、これまでの巫女は皆、美形だったこともあり、その美形故に予見を信じる人間も多かった。  美麗の代になって、急に御簾越しに。という訳にもいかない。  今の巫女である美鈴が存命で、美麗がある程度成長した頃に、整形手術を行うことにした。    誰にもばれないように、代々の侍医からの紹介で、腕の良い美容整形の医師を紹介してもらい、美麗が16歳になった年に、整形手術が行われた。  美麗の鼻は軟骨の形成不全なので、鼻骨を作り、鼻の位置に埋めて、固定しなければいけなかった。  鼻が高くなれば、その分皮膚も必要だが、皮膚移植をするとどうしても傷が目立ってしまうので、手術の前から、鼻の下に切り込みを入れ、固定する骨の大きさに合わせて、シリコンを入れ、徐々に鼻の皮膚を引っ張る事になった。  この作業が、美麗は一番つらく、精神的にも肉体的にも大変な苦痛を伴った。  固定する時に拒否反応が起こらないように、固定するための骨は美麗の骨盤から削り出した型を使用する事に決まっていたので、骨盤の手術も行われた。  病院の個室で感染症などにも気を付けて、1年かけて、ようやく鼻の形成手術が終わった。  元々、鼻以外は美しい顔立ちだったので、形の良い鼻を手に入れた美麗は、美しい、上品な輝きを持つ真珠のような巫女に変身した。  叔母の巫女である美鈴は最近体調がすぐれない事が多く、政治などの大きな問題でなければ、美麗が予見することも出てきた。  家族は、巫女になったのが美麗で良かったと、皆、胸をなでおろした。  婿を取って、子を産まなければならない側の鼻が美麗の様だったら、誰も結婚してくれないかもしれない。いや、いずれにしても、美麗の鼻は整形されることになったのだろう。  しかし、豚鼻の遺伝子は一応ここで途絶えたのである。  整形で化けなければ職業を継げないというのも、婿がもらえないというのもおかしな話だ。  要は、顔の皮一枚の事なのに。  美醜にあまりにもこだわっているとそのうち跡を継ぐ者がいなくなるのではないかと、心配になるのだが・・・  今は、簡単に化けられる時代になっている。そんな心配は杞憂なのかもしれない。 【了】    
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