現在〜手のひら

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昼休みが終わり、皆、仕事に戻る。 一旦、執務室が冷静さを取り戻す。 私も、洗面所で目を冷やし、自席に戻り、午前中の仕事の続きに取りかかる。 しばらくすると、部局内の緊急ミーティングが開かれるため課長が執務室を離れた。 後ろの方では、誰かが、ボソボソと、 「現場は逃げる人がパニックになって、転んで怪我した人もいるらしい。」 「まあ、首相や知事は何ともなかったみたいだけど、怖い世の中だな。」 などと話している。 自分自身に、もう何度目か、言い聞かせる。 しっかりして。 大丈夫。 仕事に集中しろ。 課長が戻り、係長たちを自分の周りに集める。 立ったまま、課長が部局ミーティングの伝達と指示をだしている。 係長が戻り、立ったまま、私達係員に伝達した。 「今回の事件で、知事に怪我はない。 犯人はその場で逮捕。 怪我人は全部で16人。ほとんどが、逃げる際の怪我らしく、大したことないが、警官が一人、大怪我らしい。」
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