現在〜指輪

5/10
前へ
/78ページ
次へ
お昼休み、いつもの地下のコンビニおにぎりを食べていると、スマホがふんわり光り、メッセージが入ったことを通知した。 佑斗からのメッセージだ。 無事、退院できたんだ。 ほっとした。 本当は付き添いたかったけど。 仕事が忙しくて休めないのは、半分は本当で、半分は、嘘。 何だか、会うのが、怖いだけだ。 健斗に私の事を託されたから、好きになってくれたのではないか? 佑斗には、私ではない他にもっと相応しい女性がいるのではないか? 佑斗がマリッジリングを預かっていたことが、その私の考えを裏付けた。 はぁ、と溜息をつく。 私は、おにぎりを食べずに、スマホを見つめた。 「遥?大丈夫?」 斜め前の自分のデスクにいたはずの美寿々が、隣から私を見ていた。 「えっ? やだ、いつの間に、隣に来てたの?」 「えっ、ずいぶん前からいたけど。」 そう言って、美寿々は立ち上がって、 「体調が悪い訳じゃないみたいね。」 「あっ、うん、ごめん。心配させた?」 「まあね。 怪我した人と順調かなって思っていたから。 どうしたのかなって、ちょっと心配かな?」 「・・・ごめん。」 「やだあ、謝らないでよ、お互い様ってことよ。 でも、相手がいての悩みなら、一人でいくら考えても、答え出ないんじゃないかな?」
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

181人が本棚に入れています
本棚に追加