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佑斗は順調に回復していった。
私は仕事帰りに病院に寄ることが日課になった。
やがて、佑斗がベッドではあるが起き上がれるようになると、昼間に必要なものがないか聞き、それを調達してから病室に行くようになった。
佑斗は、ここぞとばかり甘えているようにも思うが。
その週末、佑斗のお母さんと一緒に病院に行くことになった。
おばさんとは新幹線ホームで待ち合わせた。
久しぶりに会うおばさんは、少し小さくなったようだった。
「遥ちゃん、私ね、再採用でまた警官にもどったのよ。」
おばさんは、少し照れたように、笑った。
「女性の先輩が、生活安全課の課長でね、若い女性警官を育てたいんだけど、家庭との両立が相変わらず難しく、辞める人多いそうでね。
私のように、警官でも母親でも、先輩としてサポートできる人探していて、私にやってみないかと。
母として、よい見本には、ならないけど、ね。」
おばさんは、窓の外を見た。
「いつまでも塞ぎ込んでいたら、健斗に合わす顔がないじゃない。」
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