現在〜指輪

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現在〜指輪

佑斗が退院できることになった。 いつの間にか、芽生えた不安は、あっという間に私の中で大きく育っていった。 佑斗は、健斗の代わりとして私を愛そうとしてるのか。 健斗がいたら、起きない気持ちだったのか。 健斗がいたら? 健斗がいなかったから? 健斗を絡めて、もしも、を考えてる自分が、すごく薄情な女に感じた。 退院の前の日、佑斗が上司に許可をもらい、私が待機寮の彼の部屋から退院に必要な物を取りに行った。 家具らしい家具もなく、佑斗の書いたメモを見ながら、目当ての物を探していく。 いくら親しいとはいえ、できるだけ余計な物を触らないようにする。 でも、目に入ってしまった。 実用ばかりで、あまりに殺風景な部屋に、そこだけ優しい色だった。 ベッドボードの水色のジュエリーケース。 いけないことだと思うのに、つい、持って開けた。 横に並べてられた大小のピンクゴールドの指輪。 閉まっていた記憶が、ぽん、と出てくる。 婚約指輪を見つける時、私がマリッジリングならこんなのがいいな、と話した。 小さい指輪を手に取る。 内側の、刻印は、 K to H, 何で、佑斗が、持っているの?
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