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遥が、退院に必要な衣類を持ってきてくれた。
明日、ようやく退院だ。
「遥、ありがとう。」
もう、遠慮なく触れていいんだ、と、ベッドに座ったまま、つい、遥の手を取る。
「明日、退院だけど迎えに来てくれる?」
冗談半分、期待半分で甘える。
「もう、これ以上有給休暇使えません。」
口調とは反対に、俺の手を優しく握り返す。
「そういえば、部屋見られちゃったなぁ。散らかってなかった?」
ベッドに座ったまま、下から遥の顔を覗きこむ。
すると、ふっ、と、僅かに遥が視線を逸らした。
「ん、別に。」
ん?やっぱり何か変だ。
「あっ、うん。ホントにそんなに気にならなかった。」
遥は、笑顔に戻った。
午後、岡島さんが来てくれた。
「どう?」
「お陰様で大丈夫です。」
「まあ、本調子には見えないから、当面は内勤だ。
処理しなけりゃいけない書類、山ほど残して置いたから。病院で、ふやけた脳みその活性化にはちょうどいいだろ?」
「岡島さん。俺、プロポーズしようと、思ってます。」
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