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「どうする? 盾に使う予定だった円香がそれじゃあ、使い物にならねぇよな?」
「まさか、その為に女を……」
「さてと、もうお喋りは終いにしよう」
「ま、待て! 話せば分かる! そうだ、金だ! 金をやる! 好きなだけくれてやる! だから考え直せ!」
この状況で自分に勝ち目がないと悟った榊原は一転して命乞いを始めるも、
「悪いが、俺は金に興味ねぇんだよ」
「なら、欲しい物は全てくれてやる! だから考え直してくれ!」
「うるせぇよ。そういう台詞は聞き飽きた。後悔するならあの世でしな」
「や、止めてくれぇ!!」
その叫びが、榊原の最期の言葉だった。
迷わず心臓に一発の銃弾を撃ち込んだ伊織によって榊原は生涯を終えた。
「……伊織、さん……」
「円香!」
榊原が動かないのを確認した伊織はすぐに円香の元へ駆け寄った。
「痛むか?」
「大丈夫……です、掠っただけ、ですし」
「悪かった。アイツを油断させて引き離すには、この方法しか無かったんだ」
伊織はポケットからハンカチを取り出すと、円香の脚に巻いて止血をする。
「分かってます。伊織さんが言ってくれたあの言葉で何か意図があるのは想像つきましたし、あのまま二人で居ても危険なだけだった。だから、私を一旦彼の人質として油断させて隙を窺っていたんですよね」
「ああ、そうだ。よく分かったな」
「それに、脚を狙った理由も、 分かりましたから」
「そうか……。けど、お前を傷付けてまでやる事じゃなかった……本当に悪かった」
「ううん、いいんです。私、ただ守られているだけは嫌だから。役に立てるなら、このくらいの痛み我慢できますよ」
「……円香、ありがとう。とりあえず、ここから出よう。外には忠臣さんや雷が来てる筈だ」
「はい」
円香を抱き上げた伊織が倉庫から出るや否や、
「伊織! 無事か!?」
「円香ちゃんも、大丈夫?」
忠臣と雷斗が二人に駆け寄って来る。
「円香ちゃん、脚怪我してるの?」
「ああ、すぐに手当してやりたい」
「あっちに救急車を用意してある。すぐに手当をしてもらおう」
忠臣たちはHUNTERの後処理を担う別組織や警察の上層部を呼んでいたようで、倉庫から次々に遺体が運ばれていく。
円香の手当をしてもらう為皆で救急車が停まっている場所まで向かっているさなか、少し離れた場所で一瞬何かが光っているのに気づいた伊織。
しかし、十時の方向から何かが飛んでくる気配を察知した時には既に遅く、円香を抱えて歩いていた事もあり反応が遅れた伊織は彼女に当たらないよう身を呈して庇うのが精一杯で、飛んできた何かに胸を撃たれてしまった。
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