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髪を乾かしスキンケアを入念にした後、ベロア素材の少し大きめでシンプルな白いルームウェアを着た円香は何とか心を落ち着け、ようやく脱衣場から出て行く。
「すみません、時間掛かってしまって……」
そう一言声を掛け、その声に反応した伊織が顔を上げると、
「…………」
何だか少し雰囲気の違う彼女に見蕩れ、一瞬言葉を失ってしまう。
そんな伊織に円香は勘違いをする。
(や、やっぱり、何か変? 部屋着、これじゃあ駄目だったのかな? セクシーな方が良かった?)
下着は大人っぽい物を身に付けている事もあり、ルームウェアまでセクシー過ぎると狙ってる感が半端ない、引かれてしまうなどとネットには書いてあったようで、円香はその情報から部屋着はシンプルな物を選んだのだけど、伊織の反応からそれは間違いだったのでは無いかと焦り後悔する。
「あ、あの……何か変……でしょうか?」
無言の空気に耐えきれない円香は勇気を出して伊織に問い掛けると、
「いや、別にそんな事ねぇよ。つーか俺もシャワー浴びてくるわ」
ノートPCを閉じて頭を掻いた伊織は何だか少し焦り気味で円香の横をすり抜けてリビングから出て行ってしまった。
(やっぱり、何か違ってるんだ……)
一人残された円香は途方に暮れていたのだけど、伊織は決して怒った訳でもガッカリした訳でも無くて――
(何だあれ、アイツ、黒い下着とか着るのかよ……何つーか、あれはギャップあり過ぎだろ……)
実は、ルームウェアはボタンタイプで上のボタンが開いたままになっていたせいか胸元が強調され、そこから黒いブラジャーがちらりと見えていたのだ。
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