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時同じく伊織はというと、
「例の詐欺グループが新たな動きを始めた。早速伊織には新しい任務に就いて欲しい」
忠臣と雷斗の三人でミーティングを行い、新たな任務へ向けての話し合いをしているところだった。
「こっちへ戻ったばかりで悪いが、頼めるか?」
「当たり前っすよ。仕事なんですから。それじゃあ早速新たな住まいを探すとするかな」
「雷斗は引き続き情報収集を頼むな」
「はい」
忠臣は伊織と雷斗の間で何か揉め事が起きている事に気付いてはいたものの、仕事に支障が出なければいいと特に気には止めていなかった。
ミーティングが終わり、各々部屋へ戻ろうとしていた時、
「伊織、ちょっと話がある」
雷斗の方から伊織に声を掛け、それに頷いた伊織は二人で外へ出る。
「何だよ、話って」
「彼女の事だよ。分るだろ?」
「…………」
「彼女、泣いてたよ。何も悪くないのに、自分が悪かったって」
「…………そうかよ。話はそれだけか?」
「伊織、お前が何であんな態度を取ったのかは分かってるつもりだ。けどな、あれじゃあ彼女が可哀想だろ? 突き放すにしても、他にやり方があると思う」
「……面倒な事は嫌いなんだよ。この方が手っ取り早い」
「お前な、そもそも彼女を騙して付き合うように仕向けたのは伊織だろ? 彼女はこれまでの女とは違うって、気付いてたんだろ? それなら互いがのめり込まないうちに別れるべきだったんだよ」
「うるせぇな、雷、お前何なんだよ? これは俺と円香の問題なんだよ。お前には関係ねぇ! 放っておけよ。それともあれか? お前、円香に惚れたのか?」
「…………そうだって言ったら?」
「なっ……」
「伊織は彼女と別れるつもりなんだし、それなら俺が彼女を貰う。俺なら、もっと上手く付き合える自信、あるからな」
雷斗の言葉に驚き、反論出来ない伊織。
暫く無言のままで向かい合っていた二人だったけれど、
「――そうかよ、なら、好きにしろよ。俺にはもう、関係ねぇんだから」
本当の気持ちを抑えこみ、拳を強く握り締めた伊織はそれだけ言って室内へと入って行き、雷斗は暫くその場に留まったままだった。
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