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「…………んん……」  暫くして、眠ってしまっていた円香が目を覚ます。  重い瞼をゆっくり開き、円香の瞳に薄らと映ったのは見知らぬ天井。 「え?」  その光景には当然驚くだろう。だって、眠る前は確かに車の中に居たのだから。 「こ、ここは……? 私、どうして?」  イマイチ状況が飲み込めない円香が一人パニックになりかけていると、 「目、覚めたんだ?」  横から声を掛けられた円香がそちらへ視線を向けると、シャワーを浴び終えたばかりなのか、下はジーンズを穿いているも、上半身は裸で髪が濡れている雷斗の姿があった。 「は、早瀬さん!?」 「よく眠ってたからね、抱きかかえて連れて来ちゃった。ビックリしたよね? ごめんね」  驚き焦る円香をよそに、マイペースな雷斗は話を続けていく。 「あ、円香ちゃんもシャワー浴びる? 温まりたいなら浴槽にお湯張るけど?」 「え? い、いえ、その……大丈夫です。そ、それより、ここは一体……?」 「ああ、ここは俺が借りてるホテルの一室。仕事で使う用なんだよ」 「そ、そう……なんですね……。それで、私は何故ここに……?」 「何故って――」  円香は疑問に思った事を雷斗に問い掛けると、彼の口角が微かに上がって円香の座っているベッドに膝をつき、そして――ぐっと彼女の身体近くまで自身の身体を寄せて迫るような体勢になり、 「円香ちゃんと、もっと仲良くなりたいなぁって思ってるからだよ」  互いの鼻先が触れそうな程近くに顔を寄せた雷斗がそう口にした。 「え……」  それには円香も予想外だったのか、動く事すら出来ずに固まってしまう。  明らかに動揺している円香の頬に触れた雷斗が唇を近付けてキスをしようとすると、 「だ、駄目!!」  すんでのところで力いっぱい雷斗を押し退けた円香は顔を背けてそれを拒んで彼から逃れようとするけれど、 「きゃっ」  ベッドから降りようとした円香の身体を強引に押し倒した雷斗は彼女の上に跨り、冷めた瞳で見下ろしながら、 「駄目だよ、その気が無いなら、男と二人きりになんてなっちゃ。寝るのも無防備過ぎ。それじゃあ襲われても文句言えないと思うよ?」  口元だけが笑っていた。
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