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「――時間がねぇから、お前とのお喋りはもう終いだ。生かして牢屋にぶち込んでやろうかと思ったが、気が変わった。お前だけは、絶対に許せねぇ」 「なっ――」  颯は悪人だけど、HUNTERのターゲットでは無い。  だから、本来なら生かして警察に引き渡さなければならないのだが、 「円香を苦しめた罪は重い。俺は、お前を許せねぇ」  どうしても、自身の手で制裁を加えなければ気が済まなかったのだ。  颯を守ろうと三人の男たちが伊織の方へ向かおうと動き出した瞬間、銃を握っていなかった片方の手をズボンのポケットに入れると素早くもう一丁の銃を取り出した伊織は躊躇う事無く男たちの急所へ弾を撃ち込んだ。 「あぁ……」  屈強な男たちが一瞬にして自身の前から崩れ落ちるのを目の当たりにした颯は構えていた銃を床に落としてしゃがみこむ。 「た、頼む……! 謝るから、許してください!!」  そして、人が変わったかのように土下座をして謝り出す颯を前にしても、伊織は彼に銃口を向け続けながら距離を詰めて行く。 「散々好き放題やってきたくせに、命の危険が迫ったら即命乞い。笑っちまうな」 「た、頼む! 頼みます! どうか許して下さい!!」 「………お前は、円香が止めてくれと言った時、止めたのか? なあ?」 「そ……それは……、す、すまないと思ってる!! 親父や兄貴の指示だったんだ! 仕方無かったんだよ! あ、謝るから!! だからどうか命だけは!!」 「謝って許されると思うなよ。円香を、あんな目に遭わせて……謝って済むと思うんじゃねぇよ」 「ひぃ!! お、お願いします! 助けて!!」 「いい加減観念しな。悪いと思うなら、あの世で詫びろよ」 「頼む、許してくれ!! か、金ならいくらでもやる! 望む事は何でも叶えるから!!」  伊織の威圧感に更なる恐怖を覚えた颯は地面を這いつくばって逃げようとするも、彼の後頭部に銃口を突き付けた伊織は、 「い、嫌だぁ、死にたくない!! お願いだから、助けてくれぇ!!」  そう喚き散らす颯に構う事なく無言で引き金を引いて、そのまま銃弾を撃ち込んだ。
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