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武田弦の素行は、決してよいとは言えなかった。
髪を赤く染めて、重力に抗うよう逆立て、左耳にはピアスを3つあけていた。
学校には休まず登校するものの、だらしなくブレザーを羽織り、シャツの上のボタンはいつも外れている。
授業中は寝ているか、窓の外を眺めている。時折、大きな欠伸をして、時間を持て余している。
そんなだから、無論成績は悪い。試験の時も、大体寝ている。この前は試験時間が終わっても寝ていたので、答案用紙が回収できずに、周りを困らせていた。
そんな武田くんが一変した。
制服のボタンをきちんと止め、授業中は先生の話を眠ることなく聞き、何やらノートに書き込んでいる。
どうしたんだい?武田くん。
何が君を、そこまで変えたんだい?
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