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普段、武田くんに近づく人はあまりいない。赤髪でガッチリとした体格。そしてだらしない服装から連想されるものは、まさしくヤンキー。
おまけに空手三段。この前の大会では、全国大会ベスト8まで進んだらしい。
要するに怖いのだ。見た目が。
ちょっと真面目になったからと言って、そのイメージは、早々変わるものではない。
しかも、頭ははげ……、いやスキンヘッド。今後、更に人は遠退くかもしれない。
脅迫、恐喝、ケンカ、煙草、そして薬物…根も葉もない噂は更に理不尽な噂を呼び、おそらくはありもしない幻想を武田くんに抱かせていた。
それでも武田くんは、そんなことを気にも止めず、毎日登校しては部活動に汗を流していた。
気にはなるけど、誰も聞けない。
学校中の注目を集めながら、武田くんは今日も真面目に授業を受けていた。
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