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「武田、ちょっといいか?」
その男は両手をポケットに突っ込んだまま、武田くんを見下ろしながら声をかけた。
クラスのみんなは息をのんで、その光景を見守っていた。
180cmを越える長身に分厚い胸板。武田くんに引けをとらない、がっしりとした体躯。
柔道部の西郷。武田くんとはよくつるんで、他校に睨みを効かせていた。武田と西郷。この2人の名前を出せば、この近隣の高校生たちは、皆怯んだ。
西郷に声をかけられ、武田くんは渋々ノートを閉じて立ち上がった。そして西郷の後を追って、教室から出ていった。
ざわめく教室。あの2人の背中から放たれる異様な空気が教室内を騒然とさせた。
もし2人がやり合ったら、どっちが勝つのか?教室内は、そんな話題で盛り上がっていた。
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