ララ・オルコット

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「で! で! できましたー!」  ララは高らかに宣言すると、へなへなと机に突っ伏した。 「おめでとうございます!」  フィーネは、疲労回復の効果が見込めるハーブティーを、そっと机に置いた。  翌日の昼、ララはついにマフラーを作り上げた。灰色をベースに、おまけでもらった青い毛糸を差し色に使っている。 「すごい。これは売れますね」 「そうですよね!?」  一日で作ったとは到底思えないほどの出来栄えだった。 「あ、紅茶ありがとうございます」  ララは紅茶に気付くと一気に飲み干した。 「昨日も紅茶とスコーン、ありがとうございました。すごく美味しかったです」 「ふふ、良かったです」  フィーネは笑顔になった。  ララからカップを回収しようとして、腕を捕まれる。フィーネは何事かと彼女の顔を凝視した。  すると、ララもそれに応戦するようにフィーネの顔を凝視してくる。 「すいません。今気付いたんですけど、フィーネさんって美人過ぎません?」 「えっ?」 「ああ、突然すみません。ちょっと……、いや、すんごいびっくりしちゃって、思わず」 「い、いえ。ありがとうございます」  ララといると、フィーネの目は点になったままとなってしまうかもしれない。  今度はカップの回収に成功し、流しへ持っていく。洗うのは後にして、ララとの会話をしに戻った。 「フィーネさん。マフラーも完成したことですし、私、もう行きます」 「……早いですね」 「私、決断が早いのが取り柄なんです!」  ララはえっへん、と胸を叩く。 「会って混乱させるのも嫌ですし。このマフラーはフィーネさんから、ということに」 「いえ、それはさすがに……」 (他人からプレゼントなんて、普通受け取らないでしょう……)  ララには、昨日の出来事は話していない。  彼女の認識下では、フィーネと息子テオは他人、ということである。どのようにして、他人からのプレゼントを受け取らせようというのだろうか。 「でも……」  ララは、どうしたらフィーネが受け入れてくれるか、それを考えているようだった。 「……なら、こうしませんか」  フィーネはある提案をした。 * * * 「ありがとうございました。色々ご迷惑をおかけしました」 「いえ。楽しかったです」  ララは嵐のようであった。しかし、それが彼女の良い部分である。短い間だったものの、フィーネを楽しませてくれた。 「ララ・オルコット様、クロッツのご利用、誠にありがとうございました」 「こちらこそ、ありがとうございました」  フィーネはカーテシーでララを見送った。  ララは腰を折り挨拶をした。振り返り、庭のアーチの門へ歩く。門はゲートになっていて、その行き先は階段だ。  今回、階段はクロッツの門の外にはなかった。とすれば、死んだ場所にあるはず。  聞けば、家の近くに階段があったとララは話した。ゲートは、階段のアーチの門と重なるように繋がっている。  ララはしっかりとした足取りで、オレンジ色の髪をなびかせながらゲートをくぐっていった。
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