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13 「どれどれぇ…」 「ちょっ!返してよっ!」 ヒョイと伸ばした手を避けられ、仁坂は携帯画面をジッと眺めている。 イケメンの無表情は何だか怖かった。 「か、返せよ」 そう言った俺を無視して、仁坂は携帯画面をこっちに向けた。 「誰?怜って」 「と、友達」 「…友達いねぇって言ってたじゃねぇかよ!」 「だっ大学の時、唯一付き合いがあった奴で!たまたま昨日出会ったんだよ!」 仁坂は左目の下に二つ並んだ泣きぼくろの方に顔を傾けた。 「たまたま?」 琥珀色の瞳には感情がないみたいに冷たく見える。さっき微笑んで見せた時はあんなにあったかく見えたのに。 「たまたま…スーパーで」 「たまたま出会った大学時代の友人は、おまえにこんな事言うわけ?」 仁坂の言葉に画面を良く見る。 "昨日は会えて嬉しかった。卒業しても、陽海の事忘れられなかった。本当は会って言いたかったんだけど、俺達、ちゃんとやり直さないか?付き合って欲しい" 俺は口をパクパクさせてしまう。 携帯がテーブルに置かれて、俺に向けてシュッとソレを滑らせてきた。 目の前で止まる携帯を手にする。 仁坂は顎をしゃくる。 「ソレ…どーすんの?…あ、その前にさ、え?おまえ、大学時代彼氏居たの?」 俺はどうしてだか、秋口だというのに、背中に汗が玉になって、流れていくのを感じていた。
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