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「入れよ」
ぶっきらぼうに扉を開かれ、俺は玄関の中に通された。
後ろで鍵がかかる音がする。
何気に振り向くと、仁坂がまたキスをしてきた。
「んんぅ〜っ!…ップハ!おまえなぁっ!」
「ノコノコ家まで着いてきて、何ビックリしてんだよ」
ニヤリと笑う仁坂に、俺はやっと嵌められた事に気付いた。
「抱かれに来たんだろ?俺をずーっと待ってたらしいしな。期待に応えないと悪いだろ」
「ちっちがっ」
仁坂は軽々と俺を抱き上げた。
「あっぶない!おろせっ!」
バンと開かれた扉の向こう側は寝室だった。
俺は思わず息を飲む。
「急に静かになってどうした?」
ゆっくり腕から下され、フローリングに爪先が触れ立ち上がる。
「シーツが……黒だから」
「ん?あぁ…だから?」
仁坂はどうやら覚えてないらしい。
初めて仁坂にエッチな事をされたあの日、彼の部屋のシーツは黒で…自分が吐き出した白濁がソレを汚したのは、今でも忘れられない記憶。
ボンヤリしていると、その黒いシーツのベッドに押し倒された。
「仁坂っ」
仁坂を見上げると、琥珀色の目と甘い囁きで俺の耳に唇を当てながら囁いた。
「いいだろ?」
いいだろ?だとっ!!
こんなイケメンにそんなこと言われて、ダメって言う奴いるのかよ!…って何流されてんだっ!
「ぃ…良いわけ…ない」
「山田、嘘つきだなぁ…こんなガチガチにして」
フワッと股間をスラックスの上から撫でられ、身体が弾かれたように跳ねた。
「ぁっ…」
「…いぃ反応…」
「はっ…なしてっ…」
「覚えてるよ」
「えっ?」
「おまえに初めて触った日…シーツは黒だった」
仁坂の言葉に、バクバクと心臓が走り出す。
優しく語る仁坂の言葉に、動揺?いや違う、トキメキ?を感じてしまったんだ。忘れたフリ、したくせに…ほんっとドS!狡い男なんだ!コイツはっ!!
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