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22 「じゃあ、望み通り…嫌がらせとして、俺に抱かれろよ…大人しくな」 冷えた声… 何でそんな切ない顔してんだよ 意味わかんねぇよ 「仁坂っ…」 必死に名前を呼んだら、仁坂は大きなため息を吐いた。 「チッ……興が醒めるってよく言ったもんだな…」 ガチャガチャと手錠の鍵を外し始めた。 「へっ?…あっ…に、仁坂?」 自由になった手首を摩りながらベッドから上半身を起こした。 「どーぞ」 仁坂は寝室の扉を手のひらで案内して、ツンとそっぽを向いた。 「え」 「え?って…自由になったじゃん。帰れば?あぁ…免許証はリビングの机の上。ジッポは……もぅやるよ。」 投げやりの言葉なのに、何故だか寂しそうに呟いた仁坂。窓の外に向けたままの視線は動かない。 俺はシャツのボタンを留めて、緩んだネクタイを締め直した。 ベッドから降りて、寝室の扉の前まで来て、仁坂を振り返る。 仁坂は出て行く俺を見ない。 まるで綺麗な彫刻みたいに、動かず、窓の外をボンヤリ見ていた。 バタンと音がして、扉を後ろ手に閉める。 リビングに向かうと、そこもモデルルームみたいに無駄な物はなくて、大画面のテレビを囲んで洒落たソファーが並んでいた。 ソファーの前にローテーブルがある。 そこに、俺の免許証がポツンと置かれていた。 スラックスのポケットに手を入れる。 冷たいジッポに手が触れて、引き出そうとした瞬間…。 「…何で…こんなの」 光る赤い石のピアス テレビボードの隣りに置かれたコレクションケースらしきガラス棚の一段に、それはキラキラと玩具らしい安っぽい輝きを放って… 大事そうに 飾られていた。
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