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1話
「...ッは?」
いとこである、蒼空は間抜けな声を出す。
マジだと思ってるのかw
「どうした、」
わざと変な人を見る目で見れば、焦ったように言い返してくる。
「いや、世界滅んだって...」
「滅んだわけ無いじゃん、真に受けてんの?」
ちょっと煽ってみることにした。
そしたらちょっと顔を赤くして、大きな声で言う。
「ひどいッ!!一緒に学校行ってやんないッ!」
え、それだけは勘弁してほしいんだが。
「..ッえ、ちょ!」
焦って追いかければ彼がこちらを向く。
「へへ~ん、うっそ~w」
「お..ッまえ!!」
「わ~ッw」
すげぇ苛つく顔してたもんだから、無性に殴りたくなって走る。相手もそれを察知したのか、走って逃げる。
すんなり追いついたので、少し背中を叩く。
「いてッ」
そんなに強くやったかな、なんて思いがよぎるがまぁ大丈夫だろう。
少しホッとした俺は新たな提案を出した。
「学校まで競争しよーぜ」
「..負けるからやだ」
なんてこった、小学生の頃は即答でいっしょにやってくれてたのに。まぁいいか、蒼空の手を掴んで俺は走った。
「れ、霊留ッ!?」
「喋って転んでも知らねーからなw」
そう言って俺は走るスピードを上げた。
「...ッはぁ、ぅ゙~....」
唸っている蒼空を横目に雲がない空を眺める。
なんにも考えていない証拠だ。
そしていたら、息を切らしながら蒼空が聞いてきた。
「なんで..そんな、早いん...だよ~、俺..毎朝!運動、してる....のに!」
たしかにそれは気になる。
俺は大体外に出ないし、インドアなのになぜアウトドアの蒼空より運動神経がいいのか。
「分けてあげたいよ」
「くれ」
そう言って、手を器の形にして俺に突き出す。
「無理」
そう一言呟けば、少し笑って手をおろした。
「下駄箱行こ!手紙入ってるかも!!」
そう目を輝かせながら言うもんだから、俺はついて行ってしまった。
「ん~入ってないなぁ」
なぜそんな典型的な事が起きると思っているのか、そういう事する女子も女子で馬鹿なんじゃあないのか。
そう思いながら自分の靴箱のフタを開けると、
ばさささ、という音を立てて紙が落ちてきた。
まぁ、いつものだ。
「なんでお前のには入ってんだッ..」
少し悔しそうに言う蒼空に手紙を半分分ける。
「そういうことじゃねぇッ!w」
笑いながら彼はそういった。俺も釣られて笑った。さすがは蒼空だ。
朝のホームルームが終わり、移動教室だが授業する気にもなれなかったので蒼空を誘って屋上でサボろうと椅子をたった。
とりあえず移動教室っぽくするために教科書とファイルと筆記用具を手に持つ。
そして教室を出ようと扉に迎えば名前も知らぬクラスメイトの男子に足を引っ掛けられて転びそうになる。俺のバランスは保てたが、持っていた荷物のバランスは崩れて散乱した。
拾おうとかがめば周りに男子が集まって来る。
なんなら道中にあった教科書踏まれた。
くすくす笑うとガキ大将みたいなやつがなにかを言おうとした。そのとき、
「霊留~ッ!!!」
と叫びながら廊下を走る蒼空の音がした。
その声にビビったのか、クラスの男子はみんな各々の事をしにいったので助かった。
感謝だ、口には出さないけど。
ばぁんという音を立てて乱暴に開かれた扉の先には蒼空がいた。教科書をかき集めて蒼空と教室を出た。
唐突に蒼空は言う。
「サボろーぜ」
この言葉に拒否する理由もなく、
「もちろん」
と応える。嬉しそうに蒼空は屋上への歩みを進めた。まぁ俺もついて行ったんだが、
ここで1つ、蒼空にも言っていない秘密を教えよう。
俺は虐めにあっている。クラスメイトの男子から、ときどき空き教室にも行くこともある。蒼空に言わない理由は、おおごとにしたくないから。言えば蒼空はキレて暴走するだろう、それが嫌なのだ。
別に俺が耐えていればいいだけだし、
特に気にしていないんだけどね。
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