157人が本棚に入れています
本棚に追加
男の人が苦手な私も、佐々のそばでだけは自然体で振る舞えた。隣に並んだり、偶然軽く手が触れることがあっても、佐々だけは怖くなかった。
佐々は大丈夫……。佐々だけが、特別。
そう感じた気持ちは、私の中でいつしか恋心に変わっていった。
だから、中学を卒業して、佐々と同じ高校に進学することが決まったときは嬉しかった。
子どもの頃の恐怖体験も、そこから生まれたトラウマも、佐々と巡り合うための運命だったのかもしれない。そんなふうにさえ思った。
いつか、頑張って佐々に告白したい――。
そう思っていた矢先だった。
『藤野、聞いて。俺、出会っちゃったかもしれない。運命に……!』
きらきらと眼を輝かせた佐々が、私に最悪な報告をしてきたのは……。
最初のコメントを投稿しよう!