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「ちょっとだけ寄っていい?」  学校を出て駅に向かう途中、奈帆がコンビニの前で足を止めた。 「何買うの?」 「家で勉強するときに食べるチョコ」  佐々と奈帆が話しながらコンビニに入って行く。  私が入り口の手前で立ち止まると、佐々たちに続こうとしていた翔琉くんが振り向いた。 「朝香は行かないの?」 「私は買い物ないから、ここで待ってる」 「そっか。俺、飲み物買ってくるね」 「いってらっしゃい」  笑顔で手を振って、コンビニに入って行く翔琉くんを見送る。  みんなが行ってしまってひとりになると、私の肩から力が抜けた。  みんなと――、特に翔琉くんと一緒にいるときの私は、常に気を張っていなければならなくて疲れる。少しでも気を抜けば、翔琉くんを無意識に傷付けてしまうかもしれないからだ。
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