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男の人が苦手な私には、翔琉くんと恋人として「付き合う」ということが思っていた以上に難しかった。
翔琉くんのことは嫌いじゃない。見た目は少し軽いけど、優しくていい人だと思う。
だけど、男の子とただの友達でいるのと「付き合う」のは、距離感が全然違う。
付き合うようになってから、翔琉くんは私の頭や肩に手をのせたり、手を繋ぎたがったりするようになって……。私は、そんなふうに翔琉くんに触れられるのが少し怖かった。
前もって触れられることがわかっていれば少しマシだけど、急に触れられたり、不意打ちで手を繋がれるとまるでだめ。
翔琉くんの手が近付いてきただけで、反射的に避けたり、びくついてしまう。
その度に「緊張しちゃって」とか「びっくりしちゃって」とさりげなく誤魔化すけれど、翔琉くんは、触られるときに私が拒否感を示すことに薄々気付いていると思う。
私が無意識で拒絶する度、少し悲しそうな目をする翔琉くん。翔琉くんの「運命」に乗っかると決めたのは私なのに、そのせいで彼を傷付けている。
だから、私が翔琉くんの前で明るくて笑ったり、周囲から彼と仲良く見られるように意識しているのは、せめてもの罪滅ぼし。私に笑いかけられて安心する翔琉くんの顔を見て、私も自分の気持ちを誤魔化して、安堵しているんだ。
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