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「あ、藤野」  委員会のあとで忘れ物を取りに行ったら、教室でばったりと佐々に会った。 「なんか話すのひさしぶりだな。藤野が翔琉と別れてから、一緒に遊びに行くこともなくなっちゃったし」  佐々の言葉に、私は小さく苦笑いした。  佐々の言うとおり、翔琉くんと別れてから、私と佐々が顔を合わす機会は減ってしまった。  奈帆と付き合っている佐々は、用もない限り、わざわざ私に話しかけてこない。  高校に入ってからの私が佐々と一緒に入られたのは、翔琉くんが奈帆の幼馴染で、佐々とも仲が良かったからだ。  翔琉くんの「運命」から降りた私には、初めから、佐々の隣に並ぶチャンスすら与えられていなかった。 「翔琉、藤野と別れてからすげー落ち込んでるよ」  聞いてもないのに、一方的に翔琉くん情報を伝えてくる佐々は、今日も若干、デリカシーに欠けている。  何度も繰り返し見てきた、翔琉くんの傷付いた顔。それを思い出すと、今も心苦しくなるっていうのに。
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