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後ろのルーウィンに寄りかかっている理緒は、ぼんやりしながら「どうしてこんなこんとに……」と思っていた。
今すぐにでも逃げたほうがいいのはわかっている。でも体に巻き付いた触手と腕が、すんなり離してくれるとは思えなかった。
「ルーウィンさん、帰らせてください……」
余韻に浸ったままルーウィンを見上げれば、閉じていたまぶたを開けて、悲しそうに眉を下げた。
あんなことをされた後だというのに、彼の悲しむ顔を目にするとなぜか胸がぎゅっと切なくなった。
ルーウィンが何かを言った。相変わらず何を言っているのかわからないが、何となく「もう少し一緒にいてほしい」と伝えているんじゃないかと思った。
彼は足の間に座っている理緒の体を触手で持ち上げ、向き合う形で膝の上に下ろした。そして、甘えるように顔や耳に唇で触れた。
短いキスを受けながら抱きしめられると、理緒の胸にほのかに甘い感情が揺らめいた。
悲しげに自分を引き止めてくるルーウィンを、頬を少し赤らめて見上げる。
「さっきみたいなことをもうしないなら……もう少しだけ雨宿りしていきます」
ぱあっと顔を輝かせた彼は、嬉しさを伝えるかのように理緒の唇にキスをした。ぎゅうっと抱きしめて何度も何度も唇を触れ合わせ、軽く吸い上げた。
先ほどのことがあると「キスくらいならいいかな」という考えになってしまい、ルーウィンに身を任せる。それに人間の価値観で生きていない彼にとっては、キスは愛情表現ではないかもしれないから、拒否してまた悲しませるのも嫌だった。
抱きしめられながら優しいキスを繰り返されると、なんだか彼の恋人になったかのような錯覚がしてくる。
甘い行為に胸がときめいてしまって、体がふわふわしてきた。
ルーウィンにとってキスやさっきの行為ってどんな意味があるんだろう? そんなことを考えていると、唇の間を割って舌が入ってきた。
「ん……っ」
長い舌が理緒の舌に絡みつく。また触手が服の下で動き回り、肌にぬるぬるとした分泌液を塗りたくった。
くちゅくちゅといやらしい音が響く中、中途半端にずり下がっているズボンと下着を触手によって下ろされ、再び一本のそれが性器に絡みついた。
「んん……っ!」
ルーウィンの体を押して止めさせようとしたが、先ほどと同じく止めてくれなかった。
離れようと体をひねる。
逃さないとでもいうかのように触手がきつく巻き付き、理緒の肌にくいこんだ。
約束と違う。焦りが胸を支配する。同時に、明確な約束をしたわけではないことにも気づいた。
性器に絡みついた触手がまた擦ってくる。快感が腰から脳に上がってきて、脳が蕩ける感覚がした。
「っはあ、ルーウィンさんっ、やめて……っ」
なんとか顔を離した理緒が息を乱しながら言った。首を振ってやめてほしいと伝えても、ルーウィンは可愛らしいものを見る顔つきで何かを囁くだけだった。
前を弄るのとは別の触手が理緒の尻を這った。割れ目をゆっくり移動すると、穴に分泌液を塗った。
ぞわっと全身が粟立つ。いやいやと頭を振るも、触手の先端がゆっくり入ってきた。
「ひっ……! 入って、くる……っ」
何も入ったことがない場所に触手がねじ込まれていく。強烈な異物感、不快感に顔を歪めて息を震わせる理緒の様子を窺いながら、ルーウィンは触手を進ませた。
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