【第4話 - 執着者】

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 思わずひっ、と息を呑んだ。彼にぐっと腕を掴まれ、エレベーターから引きずり降ろされた。周りに誰もいないので、この異質な状況の目撃者はいない。だから悪天候の日を狙ってきたんだ……。彼の周到さに背筋が寒くなった。 「椿。お帰り。待っていたんだ」瑛士の顔色は青白く、その眼差しには深い闇を隠していた。 「瑛士…どうしてここに?」  間抜けな質問しか浮かばないけれど、それすら言葉にしようとすると声が震える。  どうしよう……悠斗さん、助けて!! 「ずっと待っているのに、どうして連絡してこないんだ?」 「どうしてって…あなたとはもう終わりにしたじゃない」 「終わった? 誰が決めたんだ。なにも終わってないだろ。お前が連絡してこないから、今日は俺の方が来てやったんだ」  瑛士の態度が急変する。優しく言っても私が反抗的な時は、いつも威圧的になるのだ。今もそう。 「この前、もう無理だって言ったでしょ。あなたとの婚姻を続けることも、結婚を考えることもできないって、そう言ったじゃない。だから終わったの!」  瑛士は私の腕を更に強く掴んで部屋の方へと強引に引っ張った。離して、と訴えるが聞く耳を持ってもらえない。あまりに強引だったので、スーパーの袋が避け、玄関の前にジャガイモがバラバラと飛び散って転がった。
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