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親友だと思っていた里枝のようにお洒落ではないし、職業上水をよく触るので指もかさかさで綺麗でもないし、常にお花のことばかり考えているような女だ。自分で言っていて悲しくなるほどに低スペック。瑛士という素敵な彼氏がいるのが奇跡だと思っていた。
八神社長の微笑みを見ていると同じ人間とは思えない。低スペックだから婚約者に浮気されても仕方ないような気がしてきた。
「素敵です!」
アレンジを終えたので手を止めた私を見て、薄く紅をひいたような艶やかな唇がさらりと誉め言葉を乗せて持ち上がった。高貴な笑みを見ると、あまりの神々しさに拝みたくなってしまう。
「八神社長、お花はご満足いただけましたか?」
「もちろんです。僕はあなたの用意してくださる花を毎回楽しみにしているのですよ。いうなれば、椿さんのファンです」
「ファン!? ご冗談を」
八神社長の方が女性ファンが多いと思う。からかうにしても、なんてことを言うのだろう。
「冗談ではありません」
ちょっと拗ねたように言う社長は、今度は幼子が見せるようなしぐさをして可愛らしい。
イケメンで綺麗で可愛いなんて、反則ですよ社長!
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