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「だから椿さん。あなたの力が必要です。今まではそっと思い出にしているだけでよかったのですが、でも、運命の女性(ひと)と巡り会ってしまったのです。彼女にこの思いを伝えたいと、欲が出てしまいました。僕は婚約者となった令嬢と必ず別れます。きちんと別れ、自由の身になったあかつきには向日葵の子にお礼を言いたいのです。そしてずっと好きだったと思いを告げたい!!」
凛とした強い目。私を見つめる彼の目線はとても情熱的だった。その目を見つめると苦しくなる。私が協力してうまくいけば、このサブスク契約は終わってしまう。もちろん協力した手前、ガーデンプロデュースの事業の方は継続してくれるだろう。彼はそういう人だ。だから花小町については心配ない。
でも、私の気持ちは――?
「び、微力ながら、頑張って協力しますね」
声が震えた。本当は協力したくないと思っている。だめ。そんなふうに思っちゃだめ。
悠斗さんのことを想うなら、彼のために私がしっかりしなきゃ!!
「はい。頼りにしています」
彼の笑顔を見たその瞬間、切ない感情が駆け巡った。胸が張り裂けそうになる。どうしてだろう。なぜ私がこんな気持ちになるの……?
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